「あのさぁ・・・」
『おや?最近太り気味を気にしだして今日からローラー台を始めたナナシさんではありませんか』
「よけーなことは言わんでいい!って、グチはさておき、本当にすぐ飽きるんですケド・・・」
『踏み始めて10分か・・・。ま、そんなとこやね。んじゃ、少し口出しさせてもらいますかね』
「あくまで目的はダイエットであって、速くなりたいわけじゃないからね」
『まずは・・・回転数が少ないのがアカンね』
「さんざん『90回転』って言われたから、目標にしてたんだけどとても回せないわ・・・」
『んじゃ、負荷がきついんだね。もっと軽くして』
「こ・・・こぉ?」
『足に負荷が感じられるギリギリのギアまで落としてみて』
「今度は空回りする感じがするんだけど・・・」
『そのくらいでいーよ』
「そ・・・そーなの?でも、今度は軽すぎてうまく回せてない気が・・・」
『クランクがコツコツいってるから力のかけ方がうまくいってないみたいやね。じゃ、左足外してみよっか』
「よいしょ・・・っと。これでいい?」
『ギアは一番軽くていいよ。んじゃ、片足で回してみて。
反対の足は邪魔にならないようにローラー台の上に置いとくといいよ』
「・・・あの・・・コツコツぶつかって引っかかる感じがして、ぜんっぜん回せないんですけど・・・」
『それだけ効率の悪い回し方してるんだよ。ペダリングが悪いとダイエット効率が落ちるだけでなく、
故障にもつながりかねないから』
「どーすりゃいいの?」
『・・・んー、じゃ、もう一段ギア上げて、とにかく円周をなぞるように回してみて。回転数は無視していいから』
「よいしょ・・・!・・・・・・だいぶ音はならなくなったけど、まだ時々気になるわね。もう一個ギア上げていい?」
『いや、ここで音がならないように頑張った方がいいよ。
とにかく引き足の使い方が慣れてないから、そこをがんばってみよっか』
「引き足?あぁ、足を引き上げる時ね。どーやりゃいいの?」
『途中でショートカットしたり、回転速度にムラがあったりすると音がなるから、
大きな円周&一定速度を心掛けてみよっか』
「んじゃ、ここはいつもより大きな円弧を描くつもりで・・・・・・おぉ!さらに音が減った気がする!」
『一分間、音を出さずに回せるようになったら合格だね』
「ふぃー、けっこぉ長く感じるわ。次は左足ね?・・・あ、あれ?同じようにやってるつもりなのに全然できない・・・」
『それだけ左右差があるんだよ。やっぱり利き足の方が上手に回せる人がほとんどなんだね』
「むきー!イライラするー!」
『最初からできるなんて思わなくていいよ。それじゃ、その感覚を忘れずに両足で1分回してみよっか』
「・・・最初に比べても軽く回せるようになった気が・・・」
『うんうん、実際よくなってると思うよ。じゃ、この”ワンレッグドリル”あと2セットね』
「げ〜!何かうまくできないから精神的に疲れる練習ね・・・」
『ま、考え方はスイムのドリルといっしょだね』
「せ、せんせぇ〜、終わりましたよ〜!全然うまく回せなかったけど・・・」
『はい、休憩はギアを軽くして90回転をキープ!』
「ひょえ〜!おにー!」
『じゃ、次は”パーフェクトサークル”ね』
「なんでしょうか、それは・・・?」
『直訳して”完全なる円”。真円が理想とされるペダリングなんだけど、それを身につける練習だよ。
60〜70rpmが維持できるくらいギアを重くして』
「うう、一番最初に乗ってた時とおんなじ感じだ〜」
『さっきの片足の時みたいに大きく円周をなぞるように回して〜』
「ちょ、ちょっと、息、が、切れて、きた・・・」
『心拍はどのくらい?』
「ひゃ、ひゃく、ごじゅう・・・ご・・・くらい」
『ダイエットにしては、ちょい上がりすぎかな?130bpmで60〜70回転を維持する感じでいいよ』
「そ、そお?よかった〜」
『・・・ダイエットとか言ってたわりに頑張りすぎてないかい?』
「(だいぶ落ち着いた)早く痩せたいのよ〜!」
『あんまし重いギアをガンガン踏むと、筋肉がつきすぎて逆に体重が増えるぞ。しかも足が太くなるし』
「ぐ・・・!ところで、何分くらい踏めばいいの?」
『5分くらいでいいんじゃない?』
「あと2分・・・・・・1分・・・・・・よーし、しゅーりょー!」
『はい、ギア落として、足止めない!』
「鬼ー!訴えてやるぅー!」
『じゃ、ウォーミングアップ終了ね』
「・・・は?」
『最初の10分を含めるとアップで約25分ってとこか。じんわり汗かいてきたんじゃない?
しっかり水分補給しといてね』
「アップでアップアップですぅ♪」
『・・・しょーもないギャグをかませるくらいだからまだまだ大丈夫やね』
「うわっ!ヤブヘビ!」
『とりあえず、心拍は120〜130bpm、回転数は90rpmを維持できるギアにしてみて』
「こんくらいかな・・・?あれ?思ったより楽じゃん♪逆に物足りないくらいかも」
『そーそー、その余裕が重要だよ。ちなみにダイエットメニューだから、そんなに体への負荷はないはずだよ』
「アップより楽かも・・・。ちなみに聞くけど、あんたはどんなメニューでやってるの?」
『アップは最初の10分は徐々にギアを上げていく感じで体を温めるけど、あとはだいたい同じメニューだね』
「・・・聞き方間違えたわ。どのくらいの心拍や回転数なの?」
『目的によっていろいろ変えてるけど、だいたいこんな感じかな?
・Ar:130〜140bpm×100rpm ※Ar:エアロビクス(有酸素系トレーニング)
・En:140〜150bpm×100rpm ※En:エンデュランス(持久力系トレーニング)
・高回転:140〜150bpm×120rpm
・パワー:150〜160bpm×80rpm
・AT:155〜165bpm×100rpm
・TT:170bpm〜×100rpm
『時間はその日の気分だし、有酸素+パワーみたいに組み合わせてやることもあるね。
あと、インターバルなんかもやるけど、今日はいいっしょ』
「インターバルなんて、あたしゃ、やんないわよ!」
『そーやって普通に話ができるくらいがいい負荷だよ。ギアはその日の調子で全然違ってくるから、
チェックくらいしとけばいいんじゃないかな?』
「前が内側で、後ろが内側から、いち・・・にぃ・・・さん・・・4個目ね」
『前がコンパクトドライブで、後ろは10段の12-23ってことは・・・34×18くらいかな?』
「よーわからんのですけど」
『前(フロントギア)は通常だと歯の数が大きい方(アウター)53と小さい方(インナー)39が
多いんだけど、回転重視の選手やパワーが足りない女性は少し小さいのを使うんだ。
そうするとアウター50、インナー34くらいになるんだね』
「つ、つまりは大きいほど重いって考えていいのかしら?」
『フロントはね。リアは逆で歯の数が小さくなるほど重くなります』
「う〜、ワケわからん!頭が混乱してきた!」
『大切なのは”ギア比”だからね。・・・って言っても、この場でそんな講義はしないから、
「ああ、そんなもんなんだ」って感じでいいよ』
「ま、いっか。とにかくギアの重さを体で覚えていけばいいよね?」
『それで充分だよ。・・・て、おい!心拍が140bpm超えてるぞ!
これ以上上げると有酸素効果が減ってしまうぞ!』
「わ!なんで!?」
『やはり日ごろの運動不足やな。こんだけの低負荷でも長時間耐えられない体になってんだよ』
「くぅ〜!くーやーしーいー!」
『はいはい、ギア落として。水分もこまめに摂っといてね』
「あと、どのくらいやればいい?」
『ま、最初は15分でいいんじゃない?アップで充分ほぐれてるだろうから』
「こーやって話しながらだと気にはならないけど、一人だととことん気が滅入りそうね」
『始まって10分で音を上げた奴が言うセリフか・・・?とはいえ、事実、オレもそう感じるときはあるよ』
「そーいうときはどーすんの?」
『人それぞれだけど、音楽を聴いたりビデオで映画を見たり。音がうるさい場合はあまりよろしくないけどね』
「おや?そうこうしてる間にもう15分。もう終了です」
『最後はきっちりクールダウンしときましょう。心拍を100くらいまで落としていくつもりで
徐々にギアを軽く。少なくとも5分は回しておきましょう』
「ふぃー!結構汗かいたわ」
『時間にして約45分。おつかれさんでした。少し物足りないってくらいがベストだね』
「?なんで?」
『一回でやりすぎると次の日に疲れが残るし、長続きしなくなるから。
こーいうのは”がんばること”より”続けること”の方が重要だから』
「毎日とはいわなくても週3回くらいならできそうな気がする・・・」
『そーそー、そんなんでいいんだよ』
「さーて、今日は気持ちよく運動できたから、帰っておいしービールがたくさん飲めそう♪」
『・・・こりゃ、ダイエットなんて一生無理だわ・・・』
次回は今シーズンの目標についてです。実は目標を考える作業が一番好きだったりします。
とはいえ、昨年の例もありますので、今回はまず前半だけを。
それでは、寒さによる関節痛に悩みつつお待ちください。
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