ITUトライアスロンアジアカップ村上大会レースレポート(竹内)
日 時:2013年9月29日(日)
場 所:新潟県村上市
距 離:スイム1.5km・バイク40km・ラン10km
水 温:23.3℃ 気温:20.0℃
結 果:
エリート男子
1位 田山 寛豪(NTT東日本・西日本/流通経済大学職員)1:46:38
2位 山本 良介(キタジマアクアティクス) 1:46:56
3位 ブシェミスル・シェバルツ(チェコ) 1:47:12
4位 椿 浩平(宇都宮村上塾) 1:47:21
5位 細田 雄一(森永製菓)
1:48:14
6位 古谷 純平(ロンドスポーツ・チームブレイブ) 1:48:28
7位 石塚 祥吾(日本食研)
1:48:28
8位 谷口 白羽(トヨタ車体)
1:48:48
9位 生田目 颯(宇都宮村上塾)
1:49:12
10位 小田倉 誠(日本体育大学)
1:50:10
15位 竹内 鉄平(チームあすたま監督) 1:51:19
27位 櫛田 宣善(チームあすたま練習生) 1:55:37
使用ツール:
フレーム CEEPO STINGER
ホイール Shimano WH-9000-C35-CL
タイヤ Vittoria Open Corsa CX
ウェア ASICS オーダーコンポトライスーツ
シューズ ASICS SORTIE MAGICRISE
サングラス adidas super nova
ドリンク MUSASHI リプレニッシュ
補給 ハニープラス ここでジョミ
コンディショニング 自然整体院エイド・ステーション
今年の日本選手権への最終選考レースとなるアジアカップ村上大会。ラストチャンスをものにすべく新潟県村上市へやってきた。この大会に向けてはノートレ状態の6月半ばからトレーニングを再開して3ヵ月かけての5kg減量、10年前とほぼ同じレベルまで体を絞ってきた。しかし、トレーニングの一環として、3週間前に出場した伊良湖大会(ミドルディスタンス)で、ラン競技中に左ふくらはぎを痛めてしまい、何とか2位で完走したものの、レース後は歩くのも痛くて、1週間ラン練を中止、祈るような気持ちで治療に専念。2週間前からジョグを再開。まだ張りはあるものの、何とか痛みが消えてくれていた。10日前に準高地の長野県売木村でのポイント練習を、ウルトラマラソンランナー重見高好君に引っ張ってもらい、12kmのペース走を目標タイム(3'30ペース)通りこなせたことで、よいイメージを作ることができた。
↑ 売木村地域おこし協力隊のウルトラマラソンランナー重見高好君(サロマ2位)と。
前日、そして当日朝のアップ時、身体の感覚は軽く、調子の良さを感じ、万全の状態でスタートラインにつくことができた。エリート男子の面子は日本のトップ3、チェコの五輪代表を含む60名の選手がスタートラインについた。まさに、日本選手権の前哨戦ともいえる豪華メンバーがそろった。ジャパンランキングポイント獲得のためには、順位ではなく、トップとのタイム差をいかに抑えることができるか。トップから5%以内のタイムでフィニッシュすることでポイント獲得、ランキング35位以内で出場権獲得となる。今の自分にとっては、厳しい戦いだが、チャンスはある。
スイムコースは750m×2周回。レースナンバー順に位置を選ぶことができる。自分は23番目。イン側を選択。スタートして抜け出すことはできないのはわかっていたので、泳ぎながら更にコースロープ沿いのイン側へと移動。ランキング上位選手の後方につく。1周目は、バトルにもまれながらも、まずまずの位置で泳ぐことができた。上がってみると、第2集団の先頭付近。今の自分の泳力からいけば決して悪くない位置だ、と安心しかけるものの、このままではいつもと同じパターン。第2・第3集団となってしまう。2周目に入る際、数十m先には第1集団が見えた。あそこに追いつかなければ、ポイント獲得(日本選手権)ないと直感!諦めるにはまだ早い!「絶対にあそこまで追いつく!」と腹(覚悟)を決めた。ここから猛チャージ!
まずは先頭集団から少し遅れていたチェコのロンドン五輪代表シュバルツ選手、椿浩平選手(宇都宮村上塾)に猛ダッシュで追いつく。ドラフティングをうまく使いながら、休む間もなく、更に前の集団めがけてアタック!これはまさに自転車ロードレースの感覚だ。第1集団のケツに飛び乗り成功!すぐ前を泳ぐ赤いウェアは恐らく細田雄一選手(森永製菓)。追いつくのに必死で、腕がパンパンになってしまいラストのブイ付近で力尽きそうになるものの、何とか最後まで耐えきった…。そしてトランジションからの村上名物急坂のバイクスタート!そこには、さらなる試練が…。
トランジションを出てすぐに100mほどの急坂を上る。ここは勾配がきつく、乗車せずに押して上る選手もいる。事前に練習はしておいたが、飛び乗ってすぐにシューズの上に足が乗らなくて焦る。前の選手がふらついていて、ぶつかりそうになる。そんなこんなしている間に、前方の集団と少し(数秒)の間が開いてしまう。自分の後ろには数人しかいない。ここが集団の切れ目だ…!石塚祥吾選手(日本食研)、小田倉真選手(日本体育大学)らと協力して前を必死に追う。前の集団のローテーション(先頭交代)が機能し始める前に追いつかなければアウトだ…。5km地点の上り坂の頂上までに追いつかなければ…!あと少し、手が届きそうで届かない。平地では追いつかず、坂に突入。めちゃくちゃきついが、ここは勝負ポイント!上りに入って前の集団のペースが少し落ちたところで、3人の中からアタック!ちょうど下りに入るところで、集団に飛び乗り成功!間に合ってよかった…。
追いついた集団には、山本良介選手(キタジマアクアティクス)、細田選手、古谷純平選手(ロンドスポーツ・チームブレイブ)、谷口白羽選手(トヨタ車体)ら、トップ勢がそろっていた。更に大学生、若手の選手が半分くらい。トップの面子で集団内にいないのは田山寛豪選手(NTT東日本・NTT西日本・流通経済大学職員)のみ。恐らく一人で逃げているのだろう。予想通り14人の集団は、10km地点で田山選手を吸収。すると、すかさず細田選手がカウンターアタック。反応したのはチェコのシュバルツ選手のみ。集団は細田選手を追わず、山本選手がコントロール。シュバルツ選手は細田選手の前に出られないようで、ほどなく二人を吸収。それからは、全員で綺麗にローテーションを回して後続集団とのタイム差を広げていく。
日本のトップ3によって統制された14名の先頭集団は、強風の中、40kmを55分台の好タイムでバイクフィニッシュ。追走集団とは3分の大差をつけてランに移る。自分はバイクラップ3位。トランジションにはタイミングを見計らって田山選手とほぼ同時、集団の先頭でバイクフィニッシュ。勝負ポイントを見誤らなくてよかった!
ランスタートは5位の好位置でスタート。周りの選手のスピードにはまったくついていけないが、前に見える選手を目標に、まずは自分のペースを一定に保ち、リズムを作ることに集中。村上のランコースはほぼフラットだが、一か所陸橋を渡るところにアップダウンがある。その下りで両太ももが攣りそうになる。やばい。ここでペースダウンしたら、アウトだ。ぎりぎりのところで耐える。エイドでは水を掛けて筋肉をクールダウン。何とか持ち直す。そして前には元チームあすたま練習生の桶谷祐輝(島根県協会)。去年の日本選手権を彷彿とさせるちょうどよい目標となる。5km地点でタレてきた桶谷に追いつき「ビルドアップだぞ!」声を掛けて前に出る。ここからは自分との勝負。
(写真提供:橋本様)
村上市街地の周回コース。沿道の応援が多くなり、励みになる。2周目に入り、きつくなってきたところで、後続集団から追い上げてきたランの強い高濱邦晃選手(チームフォーカス・門司地産)、池隆礼選手(沖縄県協会)にかわされる。しかし、ただ抜かれるのではなく、抜かれる際には、少しでも後ろについていけるようにピッチを速め、テンポアップする。残り2km地点「先頭との差は4分20秒」と親切な沿道の方が教えてくれた。1kmにつき20秒ずつ離されてギリギリ5分差…まったく余裕はないが、このままいけば、いけるはず!と、頭の中で必死に計算する。1秒でも速くフィニッシュするため、ラストはチームあすたまランニングトレーニングパートナー兼コーチの佐藤源信さんの走りをイメージして、腕振りで、体を前に運ぶ。ラスト500m地点で井上一輝選手(東京ヴェルディ)に抜かれる。必死にくらいつくが差し返せず。写真の通り、すべてを出し切ってフィニッシュ!トップを独走した田山選手から遅れること4分41秒。ポイント獲得!
今回、後がない崖っぷちの状況の中に自分を追い込むことで、日本選手権の出場権を獲得することができた。本気で成功をイメージした上で、物事に取り組めば、不可能はないと実感。また、ここまで自分を支えてきてくれた方の応援に応えることができ、ほっと胸をなでおろすことができた。途中3回くらい勝負ポイントがあったが、すべて前に気持ちを持っていったことが、結果に繋がった。ここまで自分を引き上げてくれたすべての皆様に感謝!
そして、今シーズン最終決戦は2週間後、10/13(日)東京都お台場。日本最高峰のトライアスロンレース、お近くの方はぜひ応援、観戦に来てください。