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       2006 ITUロングディスタンストライアスロン世界選手権キャンベラ大会 レポート

 

○ 大会詳細

    開催日    : 2006年 11月19日

    開催場所   : オーストラリア・キャンベラ

    競技距離   : Swim4km  Bike125km Run30km

    気温/水温 : 30℃/18℃

 

  ○ エリート男子結果(完走37名/参加41名)

   1位  Sindballe  Torbjorn    DEN      5:59:13

       2位  Craig Alexander       AUS      6:00:35

       3位  Marino Vanhoenacker   BEL       6:02:22

       4位  Julien  Loy         FRA      6:02:46

       5位  Nathan Richmond     NZL       6:04:53

       6位  Patrick Vernay       ITU       6:06:45 

      34位  竹内 鉄平         JPN      7:03:28

 
 【使用ツール】
 
  バイク    :GUSTYオリジナルフレーム
  ホイール  :日石カーボンディープリム
  メット    :MET ストラディバリウス
  サングラス  :アディダス 
  ウェア    :TYR(オフィシャルユニフォーム)
  ウェットスーツ:ガスティオリジナルフルウェット
  ドリンク   : パワージェル+MUSASHI リプレニッシュ

 

 

 11月16日(木)〜17日(金)  キャンベラへ移動

 木曜日の夜、慎吾ちゃんにセントレアまで送ってもらい、PM8:00の便で日本を出発。まずはケアンズまで約8時間のフライト。飛行機はほとんど満席。空港で買った本を少し読んだ後、 そろそろ寝ようかな?と思っていると、隣の人に話しかけられる。シドニー在住の初老の日本人の方で、自分がトライアスロンをしているといったら、かなり興奮された模様。もう少し早く知っていたら、仲間を連れて応援に行ったのにと、ありがたいお言葉。

 AM4:30(日本時間でAM3:30)にケアンズに到着、眠たい目をこすりながらシドニーへのトランジット。ここで国内線に乗り換えるため、入国審査、税関を通らなくてはいけなかったのだが、シドニー行きの便は国際線の乗り継ぎ便もあるため、間違えてそちらに行ってしまった。ボードとチケットを見て、間違いに気づき、外に出る。荷物をいったん受け取り、税関を通って、再び預け、ドメスティックターミナルへ移動。なんとか間に合った。

 ケアンズからシドニーへは約4時間。寝るのにも中途半端な時間なので、本の続きを読む。飛行機の中は乾燥しているので、すぐに目が乾く。コンタクトには目薬が必需品。

 AM9:45にシドニー空港に到着。ここは少し余裕があったので、フードコートで軽食を摂る。マレーシアの辛い麺(ラクサ)を食べる。ハーブが入ったココナッツ風味のスープに米の麺が入っている。シーフードミックスを注文。まあまあいける。

 最後の乗り継ぎ、シドニーから目的地のキャンベラまでは、約1時間で着く。近いように思えるが、距離にすると350kmほどで名古屋〜東京間くらいはある。飛行機はプロペラの小型機。出発の時刻が来ても、なかなか飛ばない。1時間ほど遅れてようやく出発。キャンベラには、PM13:00ごろに到着。確かレースの受付がPM14:00までだったから、結構ぎりぎりだ。でも空港からホテルまでは15分ほどだし、レース会場もおそらくホテルの近くだから大丈夫だろう。

 荷物を待つが、バックはすぐに出てきたが、バイクケースが出てこない。やな予感・・・・・・が的中。小さな飛行機のため、バイクケースが詰め込めず、次の便で届くとのこと。仕方が無い、先にホテルに向かおう。ホテルの場所を伝え、今日中にちゃんと届けてくれるように頼む。

 タクシーを拾い、宿泊先のRydges Lakeside Canberraへ向かう。キャンベラは以前一度来たことがあるので、なんとなく覚えている。何も無かったところに、首都機能を持ってきた計画的に作られた都市。きれいな町並みだが、歴史がないためか、何か無機質な感じがする。ビジネスで訪れる人が多く、日本人観光客はほとんど見かけない。PM13:15にホテルに着き、すぐにチェックイン、と思ったが、PM14:00までは入れないと言われる。とりあえず受付が先だ。荷物を預け、徒歩でレース会場のCommonwealth Parkに向かう。場所がよくわからないが、とりあえず湖の方だろう。かなり迷ったあげく、なんとか会場のテントを発見。時間ぎりぎりにレジストレーションを終えることができた。すでに疲労困憊。

 今日の残りの予定は、PM16:00からのパレードと、PM18:00カーボ・パーティ。ホテルに戻ると、バイクケースが無事に届いていた。バイクを組み立て、ちょっと横になる。うとうとして、目を覚ますと、PM16:30。すでにパレードには間に合わない。がーん、ショック!楽しみにしてたのに・・・。しょうがない、パーティだけは出席しよう。組み立てたバイクにリュックを背負って、会場へ。会場で料理の列に並んでいると、日本から参加の八代選手がなにやら入り口で止められている。話を聞くと、さっき着いたばかりで、受付をしていないので、IDが無いため、止められていたようだ。驚いたことに、シドニー空港に迎えが来ているはずだったのが、迎えがなく、現地のJTBに連絡してタクシーを手配してもらいキャンベラまで来たそうだ。事情を説明すれば、受付は明日でも大丈夫だろう。

 パーティが終わり、オルカのブースをのぞいていたら、すでにPM19:30過ぎ。まだ明るいが、暗くなる前にホテルに帰る。明日はレースブリーフィングだ。それにしても、長い一日だった。

 ←夕方8時近いが、まだ日が出ている。

 ←カーボ・パーティの様子。
 

11月18日(土) 大会前日

 レース前日。昨日の疲れもあるので、遅めに起床。朝食はホテルのバイキング。15AUS$=約1500円。パンケーキを中心に攻める。レース前日の食事は非常に重要。特に朝スタートが早いレースでは、それほどレース前には食べられないので、前日までに食べていたものがエネルギーとして蓄えられる。しっかりと炭水化物を中心に摂取し、ガソリンを満タンにしておく。もちろん水分もしっかりと摂取。

 今日はAM10:00からレースブリーフィング(競技説明会)だ。ショートであれば、レースの流れやルールはほとんど理解しているが、ロングはまだ素人レベル。聞き逃すまいと、耳に力が入る。しかし、久々の海外ということもあって、英語リスニング力の低下を痛感。理解できたのは3分の2程度。1年以上海外のレースに出ていなかったからな。またこれを機会に英語の勉強を始めるか!

 レースブリーフィングが終わった後、レースで使うパンク修理のキットを手に入れるため、バイクショップの場所を会場にいたオージーに聞く。メルボルンから来ていたエイジの選手だったようだが、現地の人に聞いてくれて、親切に教えてくれた。Thanks!早速バイクショップに向かう。キャンベラにはバイクショップが3軒あり、3軒ともすべて同じStreetにあった。購入したのは、パンク修理(シール)とエアー補充を同時に行える一体型のもの。これがあれば、予備のタイヤも空気入れもいらない。18AUS$。使わなかったとしても、飛行機に持ち込みはできないので、現地で捨てていかなくてはいけない。

 お昼は、ホテルから歩いて街へ。ぶらぶら歩きながら、レストランを探す。とりあえずご飯が食べたかったので、シンガポール(中華)料理の店へ入る。エビとビーフのガーリック炒めを注文。プラスチックのおひつに入ったご飯が出てきた。味付けは濃いが、とりあえずご飯をしっかり食べることはできる。

 昼食の後は、ホテルに戻って昼寝。本日中にバイクのチェックインを行う必要があるので、再びレース会場へ。ホテルから会場までは3kmほどある。結構この移動が疲れる。IDを提示し、バイクチェックをしてもらい、ラックにバイクをかけておく。あとから気づいたが、エリートのバイクチェックインは当日でもよかったらしい。英語力がないと、こういったところで無駄な労力を使わされる。

 夕食は日本食レストランで・・・と思ったのだが、見つけたところは予約がないと駄目っぽかったので、中華料理のレストランへ。ふた皿注文したら、ものすごい量だった。しかしなんとか食べきって、デザートのバナナフリッターで締める。これで、明日へのエネルギーは充電完了!

 あとは、明日のレースで使う補給食の準備だ。ボトル1本は、パワージェル10本と、MUSASHIのリプレニッシュを混ぜて水で少し薄めたかな〜り濃いエネルギードリンク。ちびちびと飲む用。もう1本は水。これは飲みきったら、エイドで捨てて新しいボトルと交換する用だ。あとはトップチューブにBento BOXをセット。ここには、干し梅×20個&一口ケーキ×4個。DHバーのノリブクロには、一口ういろう×4個と、餡子が入ったパイ×2個を装填。そして、エネルギーゼリーを一個つけて完成!まだまだロングの補給に関しては試行錯誤中だが、これだけ積めば、まず大丈夫たろう。

 さて、明日はいよいよレース当日。スタートはAM6:30なので、起床はAM3:30。寝坊しないように携帯のアラームをセット。おやすみなさい・・・。

 

11月19日(日) スタート〜スイムフィニッシュ

 AM3:00には目が覚める。まだ外は真っ暗だ。熱いシャワーを浴びて強制的に目をさます。レース当日の朝にいつも使う手だ。もちろん浴槽があれば、お湯をためて、短時間でも入浴するのだが、海外では、シャワーしかない場合が多い。日本人としては、お風呂の無い生活なんて考えられられない。

 あまりお腹は空いてないが、軽めの朝食を取る。日本から持ってきたういろう、昨日の夕食の帰りに日本食レストランでゲットしたおにぎりと大福、フルーツジュース、ヤクルト、ゼリー飲料などを摂取する。ストレッチをしながら、身体をほぐす。レースウェアを着て、上にバイクジャージ、その上にナショナルチームジャージを着る。朝は気温が低く10度以下だが、昨日よりはずいぶん暖かく感じる。今日の予想は30度近くまで上がるようだ。

 冷蔵庫に冷やしておいたボトルを忘れずに取り出し、荷物をまとめる。徐々に空が明るみ始めるAM5:00頃、ホテルを出発。バイクは預けてあるので、レースに必要な道具をリュックに背負って、歩いて会場に向かう。会場となるCommonwealth Parkには続々と各国の選手が集まり始めている。とたんに緊張感が高まってくる。

 ←トランジションエリア

 今回のレース、男子プロカテゴリー(エリート)は40名ほどの参加だが、女子、エイジも含めるとだいたい800名くらいの選手が参加するようだ。トランジションエリアへと到着すると、すでに多くの選手が準備を始めていた。バイクラックを眺めると、サーベロ、TREK、ORBEA、Canonndaleなどの高額TTバイクがずらりと並んでいる。すごい迫力だ。プロカテゴリーの選手のバイクは80%が、TTバイクで、エアロヘルメットが目立つ。後輪ディスクの選手が半分くらいか?乗せている補給食などもチェックする。多くの選手がトップチューブにBENTO BOX、またはフラスクを装備しているパワーバー、パワージェルをこれでもか!というくらい貼り付けている選手もいる。いかん、いかん見とれている場合じゃない。自分も準備しないと・・・。

  ←エアロヘルメットが標準装備

  水温は18度ということで、もちろんウェット着用。寒さ対策も必要だが、日中の気温が30度まで上がることを考えると、ホットオイルを塗りたくるわけにもいかない。足首や頸周りなど、必要最低限だけ塗る。あとは日焼け止めを塗っておく。オーストラリアの紫外線の強さは半端ではない。

 ロングの場合、アップはほとんど行わない。トイレまで流し代わりにダッシュする。レースの前は尿意が頻繁に襲ってくる。準備している間だけでも3回トイレに駆け込む。なんだかんだしているうちに、すでにスタート30分前だ。そろそろスタート地点に移動しなければ。スタート地点はどこだろう?フィニッシュゲート前にエリート選手が集合している。どうやら、W杯などと同じく、一人ずつコールされてスタート地点に向かうようだ。スタート地点で、ウェットを着ようとしたところ、注意はしていたが、緊張とあせりでやってしまった!手首につけているIDバンドでウェットの腕の部分が見事にざっくりと破れたのだ。オールスキンのウェットはストレスがかからない反面、恐ろしく破れやすい。もはや、修復不可能・・・。腕の部分をちぎりとる。

 幸いこんなことがあろうかと、予備のウェットを持ってきている。しかし、時間がないのであせる。急いでテントの中に置いていた荷物からウェットの上着を持ってくる。今度は絶対に失敗は許されない。慎重に・・・慎重に・・・無事に着ることができた。その直後、名前をコールさる。間に合った!ゲートをくぐり、走ってスタート地点へと向かう。

 スタート地点まではすぐかと思っていたが、かなり距離がある。どこまで走らされるんだ?公園内の道を400mほど走る。すでに入水地点には、5分後にスタートするエイジの選手の人垣ができている。プロ選手はその人垣を掻き分けて進む。入水して、すぐにそこからスタートなのかと思ったら、スタートラインまでは200mほど泳がなくてはいけなかった。段取りがよくわからないので、とりあえず回りの選手の動向をうかがいながら、フローティングスタートに備える。

 スイムのコースは4つのブイを長方形に泳ぐ2kmのコースを2周する。コースを確認できていない状態でスタートするのは、非常にまずい。必死に目をこらすが、中間の白いブイは見えても、黄色いターンブイがどこにあるのか良くわからない。選手がなかなかスタートラインにそろわず、スタートが遅れているようだ。いつでもスタートできるように集中する。

 ←スイムコース(前日の様子)

 ピーーというホイッスルの合図でスタート。フォーンじゃなかったんだ。呼吸が左オープンのため、右側からスタートする。ロングとは言え、ショート上がりの選手が半数以上。みなスイムから飛ばす飛ばす。自分は、いきなり集団の後方に追いやられる。しかしこれは1500mではない、4kmだ。後半追い上げることができるはず、と思い、オーバーペースにならないように注意する。しかし、集団のペースは落ちるどころか更に上がっていくようだ。ブイがまったく見えないので、前の選手についていく。すでに先頭はかなり前方を泳いでいる。

 一つ目のブイを回り、少し周りが落ち着いてきた。ここから、じわじわと上がっていきたいところ。前に大きな集団が見えるが、少し差が広がってきた。あそこにつかないと、上位争いからは置いていかれるだろう。しかし自分のペースは上がらない。3〜4人のパックでペースを維持するのが精一杯。1周目を終えて、2周目に入るころには、前の集団と完全に差が開いてしまった。ブイとブイの間の距離がかなりあるので、前を行く集団も大きく蛇行しているようだ。ブイの位置が1周目で確認できたので、2周目は人に頼らず、自分でブイを目指して泳ぐ。2〜3人の選手をパスすることができたか?ラストの直線に入るころには、5分後にスタートしたエイジの周回遅れ(1周目)の選手をよけながら泳がなくてはいけない。スイムのフィニッシュゲートを確認し、そちらに向かう。エリート男子、女子、エイジとスイムキャップの色は3種類に分けられている。スイムフィニッシュ直前、白いスイムキャップの選手に抜かされる。2分後にスタートしたエリート女子のトップだ!速い!

 上陸し、スイムフィニッシュゲートをくぐる。タイムは54分台(1500m20分ペース)。まあ予想通りのタイムだ。トランジションエリアまではさきほどの400mを逆走することになる。寒さで少しからだが平衡感覚を失っており、ふらつくが、大丈夫だ。各国のコーチから選手へトップの選手とのタイム差や檄が飛ぶ。抜かされた女子選手をここで抜き返す。エリート男子のバイクラックは半分くらい残っている。ということは20番台だろう。さて、ここからが本当の戦いだ。

 

11月19日(日) バイク

 バイクスタート。長い旅の始まりの予感。乗車ラインを越えてバイクに飛び乗り、ショートと同じようにまずは走りながらバイクシューズを履く。次にDHバーに付けておいたバイクグローブを装着する。これは疲労軽減のためだ。バイクコースはハイウェイ約30kmを4周回する125kmのコース。もちろん試走する時間も余裕もなかったので、ぶっつけ本番だ。これが吉とでるか凶とでるか・・・。同じ位置でスイムフィニッシュした選手が何人か前後にいるようだ。5〜6人の集団だろうか?もちろんドラフティングは禁止であるので、前の選手と10m以上間隔を開ける。ルールでは7mであるが、ドラフティングと見なされると、ペナルティボックスに5分入らなければいけない。これは致命的だ。そして2度目は失格となる。なので、絶対に大丈夫だという距離を開けて走る。

 自分のペースが速いのか遅いのか、このままのペースで最後までもたせることができるのか、ロングの経験不足の自分は、実際のところまだ良くわからない。しかし、周りの選手と比べてもそれほど遅いペースではないようだ。最初の10kmほどは、ほぼフラットな区間。10月のお台場を終えてからポジションを完全にロング仕様に変えたこともあり、良い感じでペダルを踏めている。抜きつ抜かれつで進む。選手のレースウェアの背中には名前がプリントされている。先頭グループはもうかなり先だと思うが、自分の前を行く選手は昨年3位に入っているフランスの選手だ。こんな位置にいるなんて調子が悪いのだろうか?すぐにパスすることができた。

 これは結構調子がよいのかも・・・・・と徐々に気持ちも高まってくる。だらだらとした長い上りを越えて、下りに入る。2車線のハイウェイは部分的に交通規制されてはいるが、基本的には、車が横をびゅんびゅん走り抜けていく。キープレフトを守らないと危険だ。そして、60km/h超の急な下りに差し掛かる。下りながらもコーナーが続く。外国人選手は下りが速い。体重が重いからだ。遅れないように、下りでも必死にペダルを回す。下りきって、すぐに今度は急な上りが待ち受けていた。ギアはインナーに。ダンシングとシッティングを交互に使い、脚に疲労を溜めないように心がける。その後も小刻みなアップダウンを繰り返しながら、進んでいく。思ったよりも脚にきそうなコースだ。ところどころで、自転車でコース上を回っている観戦者に「GO!JAPAN!」と声援を送られる。まだそれに応える余裕もある。周りの景色を見ると、見渡す限り草原が広がっている。本当に何もないとろこだ。

  

 1周目を終えて、スタート地点まで戻ってきた。順位的には、2〜3番落としたくらいだろうか?サイクルコンピューターを見ると、タイムは51〜2分くらい。このままのペースでいければ、目標とする3時間30分は切れそうだ。エイドで残り少なくなったウォーターボトルの交換を行う。非常に乾燥しているので、水分をしっかりとこまめに摂取する。エネルギー補給も早め早めを心がける。徐々に気温が上がってきている。

 2周目、まだ幾分元気だが、上り下りの繰り返しはかなりきつい。上りはもちろんきついが、下りで少し休もうとすると、すぐに前の選手との差が広がっていく。休めない。2周目からは、周回遅れのエイジ選手も混ざってきているので、前の選手を見失うと、精神的にきつくなってくる。ペースを落とさないように意識し、エイジの選手をどんどんパスしながら、2周目も51分程度のラップで周回することができた。

 そして3周目に突入。少し余裕がなくなってきた。おいおい、まだ半分だぞ。大丈夫か?今までのペースが速すぎたんじゃないのか?補給はきちんと摂っている。エネルギー切れはないはず。ここで遅れるわけにはいかない。しかし、次第に後続の選手に抜かされるようになってきた。大抵2〜3人くらいのパックで襲い掛かってくる。とりあえず、しばらくはペースを合わせてみるが、補給をしたり、給水したりしていると、すぐに差が広がってしまう。がまんだ、がまん。しかし、それがボディブローのようにじわじわと自分の体力を奪っていく。

 3周目を終えるころには、明らかに脚に強い疲労を感じるようになってきた。ラップタイムは54分。3分ほど遅れている。ペースダウンだ。心無しか、風も強くなってきているようだ。今までのように上りで速度が上がらない。後続選手に抵抗する間もなくパスされていく。周回遅れのエイジの選手を抜かすのにも一苦労だ。そして、一度抜いたエイジの選手に再び抜き返される。ラスト20kmは、へろへろだった。悔しいが、100kmを過ぎてからのスタミナはまだ自分にはないことを痛感。この壁を乗り越えなければ、ロングでは戦えない。

 そんなこんなで、なんとかバイクフィニッシュを迎えた。結局バイクラップは3時間38分台と、目標を8分程度オーバー。大勢の観客に迎えられるが、手を振る余裕もない。バイクをラックにかけ、まずは靴下を履き、シューズを履く。補給食とクランプストップを手にランコースへと飛び出す。ちょうどエイジトップの選手と同時スタートとなった。

 脚は鉛のように重い。すでに大半のエネルギーは使い果たしている。ここから30kmのランパート。果たして無事にフィニッシュできるのか!?

 

11月19日(日) ラン

 ランは公園内の道路を走る1周10kmのコースを3周回だ。今まで30kmという距離のレースには、出たことがない。しかし、今のこの状況ではペース配分も何も、とりあえず前に進むことだけを考える。相当バイクのダメージが大きいようだ。脚がまるで前に出ない。最初の2kmはキロ5分ペース。いくらなんでも、これは遅すぎる。折り返してきた選手とすれ違うがスピードがまったく違う。少しずつでもペースを上げていこう。1kmごとのラップを確認しながら進む。4分50秒、4分40秒、4分30秒・・・・少しリズムが出てきた。そして前の選手との差が詰まってきている。ひとつでも順位を上げてやる。

 気温はかなり上昇してきた。おそらく30度は超えているだろう。しかし、乾燥しているので、日陰に入ると、逆に涼しく感じる。4分20秒程度までペースアップし、7km地点あたりで、前の選手を捉える。しかし、その後のほんと普段では何でもないような上りで足がぱたりと止まってしまう。こんな小さなアップダウンでも耐えられないくらいに疲労しているのか・・・。脚筋力の弱さを痛感。そして、水を浴びて冷えたのか、度々腹痛が襲ってくるようになった。再びペースはキロ5分台まで落ちていた。

 脚を引きずるようにして2周目に突入。そこからは、屈辱の連続だった。まずはトップグループの選手達に周回遅れにされる。そして後続のこれからランの1周目に入るエイジ選手にも次々とパスされていく。どう見ても速そうに見えない体型の人までに抜かれる。ラップを取る気力さえなくなってきた。情けない、こんな走りをしてる場合じゃない、オーストラリアまで何をしにきたんだ・・・・・・と自分を責めたところで、現実は何も変わらない。とにかく今はフィニッシュを目指して脚を動かすんだ。

  

 何人に抜かれたのかわからない。1kmが長い。ほんとうに長い。いやになるくらい長い。ようやく2周目が終わる。落ちるところまで落ちた。しかし、まだ10kmある。いや、もうあと10kmだ。前向きに考えろ。エイジの選手のふくらはぎには、30とか40とか年代が書かれている。40と書かれた周回遅れのエイジの女性選手をペースメーカーに少しでもついていこうとあがく。なりふりかまっていられない。自分は弱い。弱いんだ。弱いから、強さに憧れる。もっと強くなりたい。このしっかりとした足取りで走るエイジグループの女性のように・・・。大事なのは、このレースで自分が何を学ぶかだ。諦めたらそこでレースは終了ですよ?絶対に立ち止まるな!でも、腹がいてぇ・・・。いろんな声が頭の中にこだまする。

  

 ようやくフィニッシュ地点の喧騒が聞こえてきた。もうすぐだ。あと少しで楽になれる。すでに女子エリートのトップ3やエイジのトップ選手もフィニッシュしている。フィニッシュロードにはいると、名前と国籍をアナウンスされる。元気はないが、手を上げて観客に応える。フィニッシュゲートをくぐり、一礼する。もう走らなくていいんだ。走らせてくれてありがとう。なんともいえない開放感。全く満足のできるレース内容ではなかったが、フィニッシュはやはり良いものだ。しかし、今までのトライアスロン人生の中で間違いなく一番きついレースだった。

     総合記録   7:03:28    59位/603人中 (プロカテゴリー 34位/41人中)

  

 自分のロングへの挑戦はまだ始まったばかり。一戦一戦が貴重な経験だ。とくにつぶれたレースほど、なぜつぶれたのか?自分には何が足りないのか?を考えるきっかけになる。そんな貴重な経験をする機会を与えて下さった、多くの人に感謝。絶対にこの経験を生かして、次につなげよう。もっと強くなるために。

 


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