レースレポート :
今年から初めてアイアンマンの発祥の地、ハワイオワフ島で開催される「ホノルルトライアスロン」。午前中にはエイジグループレースが、午後からはオリンピックへの切符を賭けた熾烈なトライアルが展開された。日本からはエリートただ1人の参加だった。
(1)コースレイアウト
スイムはワイキキビーチを少し南に下ったクィーンズビーチをスタート。特設ポンツーンからのダイブスタートで、2周回。バイクは小高い山、ダイヤモンドヘッドの周りを周回するアップダウンの激しいコースを5周回する。一ヶ所、レースでは今まで見た事もないような激坂(最大斜度20%)があり、39×23ではダンシングでやっと。選手を苦しめる。ランはワイキキの目抜き通り、カラカウア通りを3周回。多くの観光客の声援を受け走る。
(2)前々日(4/16)
AM8:00にホノルル空港に到着、インターネットを通じて知り合ったハワイ大学在学中のトライアスリート神藤さんに、空港まで迎えに来ていただく。ホテルのチェックインまでかなり時間があったので、コースを案内してもらったあと、ハワイ大学のプールに潜入。一時間ほど泳ぎ、フライトで凝り固まった身体をほぐすことができた。その後、宿泊先まで送ってもらい、明日はバイクコースを一緒に走る約束をして別れた。
日本でチェックしておいたエリートのレースブリーフィングはPM4:00からの予定であったが、一応インターネットで確認。すると時間がPM2:00に変更になっていた!会場まで走っていって、ギリギリセーフ。会場には顔見知りの選手が何人かおり、一安心。コースの説明を聞き、無事受け付けを済ますことができた。
その日は移動などでかなりの疲労感と眠気に襲われ、軽くJOGをして午後10:00には就寝。
(3)前日(4/17)
朝7:00頃目が覚めるが、時差ぼけで非常に眠い。軽く朝食を摂ったあと、再び睡眠。11:00頃まで寝る。レースのスタート時間がPM3:00なので午前中はゆっくり寝ることができるのだ。
レースのスタート時刻に合わせ、バイク練習をスタート。ワイキキ周辺は観光客で溢れ、車も非常に多いので、危険。交通事故も多いようだ。ダイヤモンドヘッドの周回コースに入ると、ものすごい突風がバイクを襲う。海岸に面しており、周回コースのどの方向からも風を受ける。その上、激しいアップダウン。これはバイクが勝負の分かれ目になりそうだ。10kmのコースを3周回して終了。
ストレッチをした後、スイム会場へ。軽く泳ぎながら、コース上の目標物を確認。海岸線に沿って泳ぐため、沖からの波がうねっており、かなり泳ぎにくい。
その日の夕食は神藤さんに、日本料理屋に連れて行ってもらう。ワイキキからちょっと離れたとこにある店だったが、超満員。ビーフ照り焼き定食ときつねうどんを食べる。ワイキキには日本料理屋がものすごく多い。日本人観光客の多さには驚かされる。また日本から進出してきているラーメン屋も数多い。
(4)当日(4/18)
いよいよレース当日、緊張も高まる。しかし眠い。AM10:00くらいにゆっくりと起きる。食事・ストレッチを済ませレースに備える。レーススタート2時間前には会場入りする。女子のレースを見ながらウォーミングアップ。
男子エリートの参加人数は23人と少ない(ワールドランキング125位以内しか参加できないため)。しかし、アメリカのトライアルレースだけあって、どの選手も目の色が違う。インターナショナルとしては、カナダのサイモン・ウィットフィールド、オーストラリアのグレッグ・ベネット、マイルス・スチュワート、サイモン・トンプソン、ブライス・カークらと超豪華メンバーだ。アジア人としてはただ1人の参加である。当然、周りの注目もあびる。日系人の方たちから、「ガンバレ!」と日本語で声を掛けられる。
(5)レース
スイムは波に苦しみながらも、前半は集団の中盤につける。しかし、後半になればなるほど、後ろに追いやられてしまう。人数が少ないからバトルは無いだろうというのは甘い考えだった。ワールドカップよりもきつい。2周回を終え陸に上がった時には後ろに選手は1名。トランジションで何とか、前の集団に追いつこうと試みるが、強風でヘルメットが飛ばされており、タイムロス。バイクはアメリカ人2名と協力して前を追う事になった。
やはり風がきつく、二人のアメリカ人もまったくペダルが踏めていない。登りでは、チギれていく始末。下りで追いつかれるが、ローテーションがうまく機能しない。周回を重ねるごとに集団から離されてしまう。このままでは駄目だと感じながらも動くことができない。ようやく最終周に入り、登りでアタックを試みる。みるみるうちに差が広がり、1分ほどのアドバンテージを得てランスタート。もっと早い時点でしかけるべきだったか?
ランは1週間前の石垣大会の時よりも脚が動いてくれた。そしてなによりも沿道の応援の多さ!観光客、地元の方たちの声援に押され、後半は呼吸が楽になってきて、ペースアップ。最後の直線では全ての力を振り絞ってフィニッシュラインを越えた。順位は19位(完走21人中)。タイムもよくはなかったが、最高の環境の中で、レースを最後までやり遂げた充実感があった。
フィニッシュ後、観光客向けのケーブルテレビのインタビューを受けた。自然と笑みがこぼれる。
(6)レースを終えて
このレースで自分のアテネへの挑戦は幕を閉じた。オリンピックへの出場はかなわなかった。しかし、これまで経験してきたすべてのこと(目標の持つことの大切さ、それを達成するための厳しさ)や、応援して下さった方たちが、自分にとって貴重な財産となることは間違いない。今後も新たな目標に向かって、挑戦し続けていきたい。
以 上
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