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世界選手権メキシコ大会レポート

 

ITUトライアスロン世界選手権 メキシコ・カンクン大会(2002. 11.10)

 

 自身3年連続3度目の挑戦となる今回の世界選手権はメキシコのリゾート地カンクンで開催される。カンクンでは毎年ワールドカップが開かれており、過去にも2度世界選手権が開かれている自分も1997年の学生時代一度だけワールドカップに参加しており、今回再びカンクンの地を踏むことになった。昨年より、今大会を今シーズンの最大の目標にしてきたが、やはり出場する権利を獲得するため、かなりシビアなポイント獲得のための転戦を強いられてきており、万全の調整で望むことの難しさを感じていたが、それでも、今シーズンの最終戦であり、悔いの残らない形でシーズンを終えるためにも、出場するからにはひとつでも上の順位を目指して、また多くの収穫を得て帰りたい。

 自分の世界選手権での成績を振り返ってみると、2000年はリタイア(周回遅れ失格)、2001年は56位という結果に終わっており、これまで、レースに参加していても、全く勝負には加われていなかった。今回の目標は順位としては30位以内だが、もう1つの大きな目標として、トップ集団でレースを展開するという目標を立て、大会に臨んだ。

 カンクンまでは成田からヒューストンを経由し約15時間のフライト。位置的には、日本から地球の裏側にあたる。日本との時差は−15時間。レースのある週の火曜日には現地入りし、次の日からバイクコース、スイムコースの試走・試泳を行った。現地の気温は35度以上と、灼熱のレースが展開されることが予想された。

 バイクコースは特に難しいコースではないが、道の舗装の状態が悪く、過去のレースでも非常に落車が多いコースなので、落車だけはしないよう危険なポイントをチェック。スイムコースはほぼ直線に近い長方形を2周回と単純なコース設定だが、波が強く、かなり潮の流れがあるため、どのようなコースどりをするかが重要になってくると思われた。また、一度浜に上陸するが、遠浅の海のため、ドルフィンスイムや、ランを交え、いかに早く2周目にはいるかという点、そしてトランジションエリアまで400mはあろうかというショートランが重要な鍵になってくると考え、シミュレーションを行った。

 スタートは桟橋からのダイブスタートで、75人の選手は一列になるため、右端から左端まではかなりの長さになる。当然第一ブイは1つなので、いかにそのブイを早く回るかを目指して激しいバトルが展開されることになる。第一ブイまでに出遅れてしまえば、実力が拮抗している世界選手権では、もはや後半で挽回することは、不可能に近くなってしまうからである。昨年のエドモントンでそれを痛いほど 味わっていた。

 金曜日に行われたスイムドローでは、ランキング順にスタート位置を指定していく。予想通り、潮の流れを利用できる右側から埋まっていく。自分のレースナンバーは52であり、51人が決めた時点で真ん中より 少し左側を選ばざるをえなくなっていた。隣は小原さんとリー・チー・ウー(HKG)だった。

 前日は、ジュニア・エイジ・アンダー23のレースが行われ、それを応援した。日本人では田山選手がU23のカテゴリーで9位と健闘していた。やはりかなりの暑さで、 エリートのレースも、速さよりも強さが要求されるタフなレースになることは明らかだった。

 今回はアジア選手権での反省から、レース前の食料に困らないように、真空パックのご飯・赤飯・レトルト食品などを日本から持ち込んだ。しかし、ホテルの部屋には調理器具 はおろか、湯沸しポットさえなく、大ショック!トラベル用の湯沸しをテイケイの西内さんから借りて、それを利用させてもらった。次回からは ちゃんと自分で用意しておかなくては・・・。

 レース当日、白く輝く太陽の下、気温はどんどんと上昇していき、男子のスタート時には37℃に達していた。水分をこまめに補給し、アップを行う。長く動くとそれだけ体力を消耗してしまうため、短時間できり上げた。桟橋の下の日陰で 身体半分海水に浸かりながら、じっとしてスタートの時間を待つ。周りの選手は自分より実力のある選手ばかりであるため、開き直って逆に肩の力を抜いて、リラックスした状態でスタートを待つことができた。今までの世界選手権では、あまりの緊張で、全く周りを見る余裕などなかったなぁと思いながら、スタート前に、他の海外選手とも話を交わした。

 いよいよレースがスタートする。桟橋の上に上がり、スタートラインに並ぶ。テイクユアマークの合図。一瞬の静寂の後、フォーンが鳴り響く。

 最初の100mはほとんど横一線、そこから300mまでの踏ん張りが最初の勝負の分かれ目になる。ここで引いてしまうと、トップ集団に入ることはできないのである。ここ2,3戦にはなかった良い感覚で最初のブイまで到達することができた。ブイを回る時は、外側になればなるほど外にはじき出されてしまうため、ある程度のバトルのリスクを犯してもイン側に切り込むことが大切になる。

 第一ブイを集団の中盤で周り、折り返しのブイを目指して必死に泳ぐ。1周目を終え、2周目に入る時自分の位置を確認する。先頭からさほど離れてはいないが、 後方を確認すると後ろの集団との間に、数メートルの差ができつつあった。ここで前に食らいついていなかければ、パックが割れてしまい、後ろの集団になってしまう。

 ペースを落とすことなく、スイムフィニッシュし、トランジションまでのショートランを必死に駆け抜ける。バイクへのトランジションはスムースに行き、30人程の大集団に入ることができた。 集団にはオーストラリア勢(ベネット、マイルス、ロボ、ヒル、カーク)にシェーン、ガーグ、ケンパー、ジョーンズら有力選手がいる。周りのメンバーからいって、これがメインのパックなのは間違いないだろう。しかし、その前に7人ほどの集団を確認。その差は45秒ほどであったが、なかなか差が縮まらない。集団のペースは追い風の時は一列棒状になり、かなりのハイペースになるが、向かい風に入ると途端にペースが落ちてしまうためである。その原因 はランを得意とする選手が集団の後方で待機しており、あまり積極的に前にでる選手がいないためである。

 しかし、ほどなくして、先頭の7人を吸収し、先頭集団は40人ほどに膨れ上がる。8周回のうちのラスト2周近くになって、4人の選手がエスケープするが、集団はあくまでラン勝負を意識し合い、動かない。 自分はうまく位置取りを行えず、集団の後方に位置するのが精一杯で、余裕はあまりなかったが、ランでいけるとこまでいくしかないと考えていた。

 トランジションへは40人の選手がいっせいになだれ込み、幅が狭かったこともあり、ひどい状態だった。自分のバイクをラックにかけようとしたところ、他の選手に自分の場所にかけられてしまい、戸惑ってしまった。バイクを放り出し、先にシューズを履くが、マーシャルから注意を受けバイクをかけなおさなければならなかった。トランジションを出たときには、前の選手とかなり差が開いておりショックを受ける。

 しかし、それ以上に、足がついてこない。まずはリズムを取り戻さなくてはと、呼吸を整える。 先頭集団は暑さをものともせずに、もの凄いスピードで折り返してくる。そのペースに圧倒されながらも自分の走りに意識を戻そうと努力するが、なかなかペースが上がらない。4周回の内の、3周目に入ってようやく、リズムがでてきたが、後方の集団から追い上げてくるランを得意とする選手らに遅れをとってしまう。ただただ前に見えている選手を追いながら、一刻でもこの苦しみから逃れたいとフィニッシュを目指した。

 そして倒れこむようにフィニッシュ。結果は77人中45位と目標としていた30位には届かなかったが、自分の力は出し切ることができた。大事なのは今後、世界との差をいかに埋めていくか という点だ。自分に必要な課題1つづつ確実にクリアしていけば、おのずとその先の世界が見えてくると思う。今シーズンを振り返って、良かった点、悪かった点を見直した上で、来シーズンに向けての計画を立て、それを確実に遂行していきたい。


   


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