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2011年3月11日の東日本大震災から1年と3か月。町の3分の1が津波の被害に遭い、いまだ震災の爪痕が残る七ヶ浜町でみやぎ国際トライアスロン大会、ジャパンカップ第5戦仙台ベイ七ヶ浜大会が開催されました。復興支援をテーマに開催された本大会。選手として現地を訪れ、全力でレースをすることで、被災者の皆様方を少しでも励ますことができればと思い、チーム全員での参加を決めました。
金曜日に現地入りをして、まずはスイム会場、バイクコース、ランコースを視察。もちろん、かなり復興は進み、道路もきれいに整備されていましたが、至る所に震災の爪痕は残されており、当時の被害の大きさは想像を絶するものであったのだろうということがわかりました。七ヶ浜大会には、ショートを中心に活動していた実業団時代、6回ほど出させて頂いていました。バイクコースとなっている海岸線の道路沿いは、以前住宅が立ち並んでいましたが、家の土台だけが残された廃墟になっていました。ここで、多くの命が失われたんだということを目の当たりにしました。



そんな状況の中、大会の開催に向けて尽力していただいた県協会の皆様、被災地の現状を包み隠さず、そのままコースとして提供してくださり、ボランティアとして大会に協力してくださった地元住民の皆様方の想いを感じ、自分たちが選手としてできることは、全力でレースをすることだと思い、絶対に最後まで諦めないレースをしようと心に誓いました。今回参加した選手は皆、そういった強い想いをもってこのレースに参加されたことと思います。
レースの方は、スプリントディスタンスということで、ジュニアエリート選手が多数参戦(18歳以下のジュニア選手は51.5kmに参加できないため)。優勝候補筆頭は何と言ってもロンドン五輪日本代表の田山寛豪選手。田山選手の一人逃げを食い止めることができるか?が焦点となりました。競技開始に先立ち、東日本大震災で亡くなられた方への哀悼の意を表し、黙とうをささげました。

水温は21度と低かったので、ウォーミングアップは陸上でしっかり、海では直前にダッシュを何本か入れて体を冷やさないように心がけました。感覚はよくもなく、悪くもなくといった感じでした。
田山選手が予想通り飛出し、そのあとは、団子状態で第1ブイ、第2ブイを回ります。750mを1周回なので、すぐにスイムフィニッシュ。田山選手とは約50秒差。2番手の谷口白羽選手(三好スイミングアカデミー)とは、約25秒差で上陸。一緒に上がった選手とすぐに集団を形成して、前を追います。自分たちの集団は、井上一輝選手、三沢源輝選手(東京ヴェルディ)、小池賢選手(稲毛インター)、上村昌志選手、生田目颯選手(宇都宮村上塾)と、チームあすたま練習生の桶谷祐輝の7名。自分のすぐ後ろにいた櫛田宣善はパックに入れず、第3集団となりました。3km地点でまずは谷口を捕え、8人の集団に。折り返しで田山選手との差を確認します。その差は約45秒。向こうは1人、こっちは8人。何としてでも、絶対に追いつくぞ!と集団のメンバーに伝えて意志を統一します。
(写真提供:木野貢造君)


田山選手はオリンピアンとしての意地で絶対に逃げ切りを図ってくるのはわかっていました。こちらも、日本男子の意地を見せて、いくらオリンピアンといえども、田山選手に簡単には勝たせるわけにはいかないんだ、という気持ちで、集団のペースが落ちないように、積極的に前を引きました、谷口選手、生田目選手といった若手も積極的に前を引いてくれました。しかし、さすがは田山選手。バイク終了時点で35秒差と、8人の集団とほぼ同じペースでバイクフィニッシュ。追いつくことはできませんでした。気持ちを切りかえて、ラン勝負に移りました。
ランコースは、2.5kmの往復コースを2周回。道幅は狭く、アップダウンが連続するテクニカルなコースです。谷口選手、井上選手、小池選手が先行、そのあとに続きます。バイクの疲労はそれほど感じませんでしたが、スピードがない自分は、とにかく前に離されないようにリズム、ピッチを刻んでいきます。3位の井上選手とは30秒ほどの差、すぐ前に小池選手。自分は上村選手と5位争い。一旦は離されかけますが、上村選手がペナルティBOXに入っている間に再度追いつき、先行します。しかしラスト2km地点で再び抜かされ、下りで追い抜き、再びのぼりで抜かれるというまさにデッドヒート。フィニッシュまであと200mというところで、上村選手が前に出て差を広げてきます。


フィニッシュは、坂を下って、50mほどの直線を折り返してゴールという距離感がつかみにくいコース設定となっています。上村選手がラストの直線を折り返し、勝利を確信したのか、少し気を緩めたところで、最後のチャンスと猛スパート!!ラインを越えるか越えないかの瞬間に抜き返してフィニッシュ。勝った!と思いましたが、結果は上村選手同タイム、同順位の5位でした。写真判定をしないとわからないくらいの接戦でした。しかし、最後まで力を出し尽くせたのはライバルのおかげです。そして、何より全力で、そして苦しい中でも被災地のことを想い、笑顔を絶やさずレースをした日本代表、田山選手。本当に尊敬します。ロンドンもその田山スマイルをぜひ見せて欲しいと思います。
<男子トップ3とチームあすたまの成績詳細>
1位 田山寛豪 57分42秒 (NTT東日本・NTT西日本/流通経済大学職員・茨城)
2位 谷口白羽 59分08秒 (三好スイミングアカデミー・愛知)
3位 井上一輝 59分26秒 (東京都連合)
5位 竹内鉄平 59分53秒 (あすたま・ATEX・三好TC)
8位 桶谷祐輝 1時間00分28秒(島根県協会)
21位 櫛田宣善 1時間04分05秒(愛知県協会)
〈大会リザルト(PDF)
http://www.jtu.or.jp/news/2012/pdf/2012_Sendai_elite_result.pdf
今回、スプリントというスピードが要求される距離で、若い選手達に混ざって表彰台を狙える位置を走ることができたのは、鍛えればまだまだいけるという自信につながりました。課題は多いですが、10月のぎふ清流国体、11月の日本選手権に向けて、更にスピードを強化していきます。
多くの苦難を乗り越えて、大会を開催してくださった関係者の皆様、ボランティアスタッフの皆様、沿道で応援してくださった地元住民の皆様に心より感謝いたします。ありがとうございました!

復興への祈りを込めて・・・ありがとう七ヶ浜!!

エリートの部男子2位に高校生谷口白羽、女子3位に同じく高校生阿間見眸。

エイジの部総合2位に三好の王子こと伊藤寿君が入りました(左)

エイジの部40代男子1位にあまみんこと阿間見孝さん(左から2人目) |