ぶらり西表島の旅(後編)
西表島には日本最南端の温泉があります。あと有名なのは由布島の水牛車。もちろんこれらは観光客のためのもの。多くの観光客を乗せた観光バスがひっきりなしに走っていました。今回は西表の自然動物とのふれあいが(自分の中では)テーマだったので、それらの観光スポットは素通り。一番の目的地、西表野生生物保護センターへ案内してもらいました。もちろん無料。ちょっとした博物館並の展示施設で、イリオモテヤマネコをはじめとする野生動物の生態を説明したパネルや剥製が展示されています。そしてなんと1997年に交通事故で怪我を負ったイリオモテヤマネコが保護されており、ライブ映像を見ることができました!耳をぴくぴくさせながら、気持ちよさそうに寝てました。
現在イリオモテヤマネコは西表島で80頭前後しか生息していません。もちろん世界中で西表島にしか住んでいません。その姿は家猫よりひとまわり大きいくらい。手足はがっちりとしており、尻尾は太くて短い。体色はこげ茶で、黒褐色の斑点があります。地元の人はヤママヤー(山に住む猫)、ヤマピカリャー(山の中で光るもの)などと呼んでいます。観光客が多く訪れるようになってからは、交通事故も増加しているそうです。実際、道路にはヤマネコ注意の看板がかなりの短い間隔で設置されていました。もちろん国の特別天然記念物に指定されていることもあり、手厚く保護されていますが、保護されるようになってから、皮肉なことに数が減ってきているという話も聞きました。これはもちろん推測の域を出ませんが、人工的な餌を与えられるなど、人間が介入することによって、野生の種の保存本能が弱くなってきているのではないかと、Yさんはおっしゃってました。生態系というのは本当に微妙なバランスの上になりたっているんだということを実感させられます。
ヤマネコの話でもうひとつ面白い話があります。西表島には、イリオモテヤマネコのほかに、それとは違った別のもっと大きな野生ネコがいるという話です。その大きさはシェパードくらいの大きさで獰猛。その姿はウンピョウにそっくりだといいます。大人二人が棒に担いで、尻尾が地面に付いたという話もあります。僕は以前からこの話を本などで読み知っていたので、興味があり、Yさんにも聞いてみたところ、やはりいないとのこと。イノシシ猟をするYさんによると、イノシシ猟をする人は、西表島全土に罠をしかけるため、島の山のほとんどを歩きつくすそうですが、そういった人たちが見ていなければ、まず間違いないそうです。確かに、2種類のヤマネコが生息するには西表島は狭すぎます。でも200km離れた台湾にはウンピョウが住んでいるし、ひょっとしたら一昔前には、西表にもオオヤマネコが存在していたのかもと考えるとロマンがありますね。
こうして、半日ばかりの短い滞在でしたが、十分に西表島を楽しむことができました。今度は一日かけて島を回りたいですね。
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