レースを振り返ってみる。レース会場まで知多の実家から車で20分で到着。近いので楽といえば楽だが、なんとなくレースモードに切り替わらない。スイム会場となるりんくうビーチの近くの臨時駐車場(有料:1,000円)に車を停めて、会場まで歩く。前日にバイクは預けてあるので、トランジションでは、空気を入れて、ボトルと補給食等をセットする。バイクボトルは3本搭載。2本はMUSASHIリプレニッシュ。1本は麦茶。補給食はパワージェル(梅味)を3つ。ザバスピットインリキッド1本。オブラートに包まれた黒蜜餅。アップは軽めのJogとドリル。ウェットスーツを着て入水チェック。スイムのアップ。コースは三角形1周の1.9km。ブイを確認するが、コースがよくわからない。ヨットを回るのか、ブイを回るのか、情報が錯綜しているが、結局はヨットを目印に泳ぎ、近くのブイを回るらしい。第1ウェーブは、プロカテゴリーと20〜30代前半の男女。その後5分毎に、30代後半、40代、50代以上とウェーブスタートしていく。いつも通り最前列に並ぶ。スイムを得意とする福井選手、西内選手をマーク。あとは高濱選手、海外選手が先頭集団を形成するだろう。そこについていきたい。スタートダッシュはまずまず決まり、集団の後方につく。ショートのレースと同じくハイペースで進む。
徐々に集団が縦長になり、5〜6番手を泳ぐ。第2ブイを回る辺りから、先頭に離され始め、自分と海外選手2名で第2集団を形成。第3ブイをターンすると浜へと戻ってくるのだが、見事の逆光で目標物が見つからない。はるかかなたにトップを先導するライフセーバーの姿が見えるので、それを頼りに方向を定める。一緒に泳いでいた海外選手もいつの間にかかなり離れたことを泳いでいる。果たして方向はあっているのだろうか?しばらく泳ぐと、フィニッシュゲートが確認できたので、あとはそれを目標にひたすら泳ぐ。これはみんな迷うだろうナ〜と思いながら後ろに海外選手2名を引き連れてスイムフィニッシュ。トップとは1分30秒ほどの差と声を掛けてもらう。タイムは25分台とほぼ予想通り。トランジションはスムースに行き、バイクスタート。最初の直線でバイクグローブを着用。普段レースではバイクグローブはしないが、今回は初めの悪路を走る区間があるので、手に受ける衝撃を軽減させることが目的。
さて問題の堤防(護岸)道路。道幅が狭く路面がガタガタ。何度も試走しているので、不安はない。しかし!!35kmくらいで突っ込んだら、段差で後ろのボトル(お茶)が飛んでいってしまった・・・。貴重な水分が・・・。気を取り直して攻める。優勝候補のキャメロン・ブラウン(NZ)と、スコット・ギャビン(AUS)に抜かれるが、離されずについていき、3km地点で50秒前にスイムアップしている高濱選手に追いついて抜かす。堤防道路を抜けて、常滑市街地に入ると、キャメロン選手とスコット選手のペースが一気に上がり、ちぎられる。その後は、高濱選手と二人旅となる。1周目のアップダウン区間。思ったようにペースが上げられない。高濱選手を早々にちぎる予定だったが、逆についてくので精一杯。折り返して暫くいったところで、フレデリック・コーンバーグ選手(SWE)と松丸選手に追いつかれる。そしてようやくエイドステーションに到着。この時点でボトルを1本開けていたが、1本はまるまる残っていたので、ここではピットインしてペットボトルの水を1本飲み干して、すぐにスタート。コーンバーグ選手と高濱選手が先行、自分はそれを追い、松丸選手はボトルの水を入れ替えているようで、少し遅れる。しかしすぐに松丸選手にかわされ、2周回目に入ったところで、コーンバーグ選手、松丸選手、そして高濱選手にも離され始める。どうにもだめだ。身体に力が入らない。しかし、まだ諦めるには速すぎる。復調を信じてペダルを漕ぐが、しばらくいくと、後方から益田選手、篠崎選手に勢い良く抜かれる。二人を見送る。この位置であの二人に追いつかれたら・・・。せめてバイクフィニッシュまでは・・・。まったく心と身体がばらばら状態。集中力が欠けている。そこから、更に4〜5名の選手に抜かれ、16位くらいでバイクを終えた。すでに戦意は喪失。でもやめるわけにはいかない。
ランはこれでもかというくらい、行ったり来たりの複雑なコース。何度もすれ違うが、コースが複雑すぎて、前との差がどれくらいあるのか、さっぱりわからない。とにかく前の選手とは5分以上開いており、後続とも5分以上開いている。一人でとぼとぼと走る消化ランとなってしまった。バイクとは打って変わり、エイドが短いスパンで設置されており、多くのボランティアの皆さんが応援をしてくれる。それを力に何とか走り続ける。前に追いつける可能性があるならば、必死に走るのだが、まったく前にも後ろにも選手の姿形が見えず、自分を追い込むことができない。まあ見えていても体は動いてくれなかったと思うが・・・。15km地点を過ぎ、ようやくりんくうインターに到着。ここからがこのランコースに目玉である自転車専用の高速道路の橋を渡る区間約1.6km。自動車と対面する形で走るので、二車線のうちの片側一車線をコンクリートと鉄パイプで作られた大層な防護フェンスで区切り、その切れ目には直立不動の警備員が立っている。50m間隔くらいだろうか?この炎天下の中、ほんとうにご苦労さまです。そこから見える景色(海・空港)は確かにすごかった。橋を渡り終えるとそこは空港島(セントレア)だが、そこからフィニッシュまでは、まだあと4kmほど走らなければいけない。早く楽になりたい一心で脚を動かす。ようやくフィニッシュエリアとなる臨時駐車場が見えた!フィニッシュロードからの観客の声援に応える。知った顔が何人か見えた。総合18位でフィニッシュ。目標タイムより20分近く悪い。応援に来てくれていた皆さん、不甲斐ない走りをしてしまいすみません・・・と、皆に合わせる顔もなく、早々に会場を離れた。
自分はエリート(プロ)選手としてまだ戦えるのか?それとも、エイジ選手として競技を続けつつ、起業家としての成功を目指すのか?自分にとって分岐点に立っていると感じる今日この頃。もちろんいくつになっても競技を続けていきたいと思っているが、エリート選手として戦い続けるためには、相当な練習時間の確保が必要。これまでは、自分の中で競技のウェイトのほうが大きかったのが、昨年くらいから、徐々に仕事のウェイトのほうが大きくなりつつあり、今年の4月に個人事業主として独立してからは、理想としている練習量の半分以下しかこなせていない。
レースへのモチベーションも年々薄くなってきているのも事実。多くのプロアスリートは、35歳前後を境に第一線から退いていく。今年で34歳、競技生活15年目。第一線からの引退は、プロの競技者ならば、誰もが通らなければならない道。しかし、体力面の衰え、精神面での燃えつき・・・それを乗り越えたものだけがいける世界もあるはず。40歳を越えても高いパフォーマンスを発揮し続けている方もみえる。この壁を乗り越えれば、また新たな境地にいけるんではないか?という希望もある。ここで諦めるのか?とにかく泥臭くても、かっこ悪くても挑戦し続けるのか?自分にとっての大きな試練なのかもしれない。とりあえず、幸いなことに、今シーズンはまだ10月17日の日本選手権(お台場)が残っている。そこで自分のすべてを出し切れるように、練習・調整していきたい。
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